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どれくらい時間が経っただろう。
俺は疲れから1、2時間は眠ることができたが、あとは寒過ぎて、目を閉じていても全く寝付くことができなかった。
気を抜けば顎が震え、歯がカチカチと音をたてた。
夜は恐ろしく静かで、長かった。
真っ暗な穴の中で、あと何時間待てば空が白んでくるのか。感覚だけでは検討もつけられない。
隣ではしのぶがじっと横たわっている。あまりに静かなので時々不安に駆られたが、どうやら眠っているらしかった。
そうして随分と時間が経った頃、かすかに聞こえていた外の風の音がやんだ。
俺はさらにもうしばらく待ってから、そっとレジャーシートを押してみた。すると、手袋と1枚の布を隔てた向こうに雪の壁の感触があった。夜の積雪で、入り口が埋まってしまったのだ。
俺はしのぶを起こさないよう気をつけながら半身を起こし、ピッケルとスコップで雪を掘った。道具を穴の中に入れていたのは、研修でそう習ったからだ。
硬い感触がようやく違うものになった時、その隙間から薄暗い青い光が差し込んできた。どうやら雪はもう止んでいるようだ。
そうしていると、横でしのぶがもぞもぞと動き出したので、俺たちは食事をとることにした。
小さなガスコンロをつけると、それだけで芯まで冷え切った身体がじんわりと温まる気がした。
リュックに入っていたのは、パックのご飯と味噌汁のもとだ。小さな鍋に周りの雪を多めに入れて、お湯を沸かす。出来上がったのはねこまんまだ。
1人分のそれを、2人で分け合って、ゆっくりと胃に流し込んだ。かなりの薄味だが、俺はこの世の何よりも美味しいと感じた。
ガスが尽きるのが怖いので、調理の後はすぐにコンロを消した。
するとその瞬間に、再びぞっとするような寒さに包まれた。
名残惜しく、俺の手はすぐにでもまたコンロをつけようと空をかいたが、まだあとどのくらいこのような状況を続けなければならないのかという見通しがついていない。
少しでも生きながらえるために、節制できるところはしっかりとやっていかなければならない。
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