年下のオネエさんは好きですか?

2/54
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
* 十九時を報せるチャイムと同時に、司書教諭が 図書館内を徘徊し始めた。部活同生も含め完全 下校の時刻になった為、居残り勉強や読書を切り上げるよう呼び掛けて回っている。 周囲にならい教材やノートを片付けながら、 ケントの胸の内は一日が無事に終わった解放感 よりも刺激の無い退屈な毎日への不満に満たされていた。 家や学校に居場所が無いとも言えないが、圧倒的に何かが足りないのだ。 その不満感は、意味も無くケントを物悲しい気持ちにさせてしまう。 学校を出て電車に揺られていると、ポケットに入れていたスマホがバイブ音を鳴らした。画面を 確認すると、仕事から帰って来たと思われる母 からのメッセージが届いていた。 『また図書館でお勉強?夕飯までには帰って 来てね』 ケントの両親は共働きで、仕事から早く帰宅した方が夕飯を作るのが習わしである。その為、今日は母が夕飯を作るだろう。ケントは簡単な返答を送ると、スマホをポケットにしまい心の中で 謝った。 母さん、ごめん。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!