4人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
男女兼用と表示された個室のスライドドアを
開けると、スピーカーから鳥のさえずりと流水音がほぼ同時に流れ、カオスとも言えるハーモニーを奏で始めた。
所在無さげに純白に磨き上げられた陶器に腰
掛け、暫くの間じっとしていると自動で照明が消え室内は瞬く間に暗くなった。取り敢えず、体を左右に揺らす事で再点灯に成功した。
何を隠そう、ここはコンビニのトイレである。
ドア下の隙間から吹き抜けた冷房のひんやりと
した風が足元を吹き抜け、フリルスカートを
揺らした。
こんな姿、同級生にバレたら人権失いそうで怖ぇ。
ケントは酷く落ち着かない気分で胸元のリボンを
直し、大きく深呼吸をした。
神様、一生のお願いです。どうかあの人以外ここへ寄せ付けないで下さい。
最初のコメントを投稿しよう!