ラウド・マイノリティ

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「あの時のあなたの主張、もちろん覚えていますよね?」  庚台青砥(かのえだいせいと)は私に向けてそう言うとニヘラと笑った。  五年前の痩身だった彼の面影はどこにもなく、今では筋骨たくましい青年の様相を呈していて、彼が言っている事象より、彼が誰かということを把握する方が時間を必要としたくらいだった。  彼が言っているのは私がまだ記者になって間もない頃。  そう、今まで以上に体当たり取材をしていた頃の、彼のことを書いた記事のことを言っているのだ。
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