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「……あの、もう一ついいですか」
「何?」
「シンさんにはいつ本当のことを言うのですか」
「うーん、……言わない、かな」
「それで、よろしいのですか」
「わかっているよ。嘘をつけばつくほど、その期間が長いほど、真実を知った時のショックは大きいだろうって。でも、少なくとも、まだ言えない。シンは無自覚に僕のために、ここにいるから。僕が縛り付けているから。言ってしまったらどうなるかわからない。怖くて逃げてしまう。弟も君も、僕の前から消えてほしくない」
「あなたを独りにはしませんよ。私も、シンさんも。……余計なことを言いましたね。そろそろ、眠った方がいいでしょう」
「……ありがとう、リオ」
「どういたしまして、でございます」
二人は微笑み合う。
ユウヤはその夜、幸せな眠りについた。
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