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「お前、いい加減にしろや」 それまで普通に大人しくか細い声を出していたが、一変させる。 彼女が怖がる低音。乱暴な言葉遣いに彼女の肩がぴくりと跳ねた。 「あ、あの……?」 戸惑う警官に、つかつかと歩み寄り。 「お前さ、被害者にそんなこと言っていいんか?」 威嚇するように怒鳴る私を押さえつけようと、もう1人の女警官が手をかけたが、それを思い切り跳ね飛ばす。 「え、いや」 どもる警官に腹の底から、早く答えんか!!!!と、怒鳴りつけた。 怒鳴り声はまるで、男の遠吠えのように響いた。 「本当に被害に合われたのかも分かりませんし、正直疑わしいんですけど……、だって、身体は男性なんですよね??男性が男性を襲うとは思えませんが」 女警官のどもった言い訳に私は、近くの椅子を持ち上げる。 「じゃあ、一般人が警官に被害加えるわけないですよね? だって、警官を襲う一般人なんているわけないですよね?」 そして、思い切り椅子を投げた。悲鳴をあげて逃げる女警官。 「え? その一般常識どこで教わったんですか? ねぇ? 」 私はケタケタと笑いながら警官に詰め寄った、騒ぎを聞き付けた別の警官がこの光景を見て唖然としている。彼女は怯えながらもハッキリとした口調で言い放った。 「い、今の全てボイレコに撮ってます!! ルイは悪くない!!!!」 警官をにらみつける私を見てもう1人の警官も只事ではないと思ったのだろう。 事情を聞いてくれて、ボイレコの中身を聞いた瞬間、みるみるうちに青ざめた。 そして、全力で謝られ、その警官たちも、土下座するように言われていた。 私も彼女もそこまでは、望んでいなかったけど正直、日本の警察のレベルの低さに絶句するしかできなかった。 事情聴取が終わり、2人きりになった時、ポツリと彼女が零した。 「ルイが、あんな怒った姿初めて見た」 確かに私は比較的穏やかな性格で、特に彼女の前ではあんな激情した姿など見せないようにしていた。 「ごめん、怖かったよね……」 謝罪の言葉を漏らすと、彼女は少しだけ微笑んで言う。 「怖かったけど、少し、かっこよかった」 彼女の感想に私も思わず笑ってしまう。怖がらせていたのに私みたいな出来損ないに優しくしてくれる。そんな彼女にまた更に惹かれてしまう。 思い出させないようにくだらない話をして、笑わせて眠らせたのは午前1時。面会時間は、過ぎていたが、看護師が見過ごしてくれた。 翌日、腰の痛みで目を覚まし、時計を見ると午前10時。 会社が休みでよかったと思いながら、喉の乾きを覚える。ベッドですやすやと眠る彼女を見て、まだ起きないだろうと予測する。 私は、彼女の頭をそっと撫でて、音を立てないように病室を出る。 自販機は、1階にあることを思い出し、エレベーターを使い向かう。 お茶と彼女の好きなミルクティーを購入。欠伸をしながら彼女の病室へと向かった。 病室に戻ると、目を覚ましたのか、彼女が泣き腫らした目をしていた。 慌てて駆け寄ると、私を見て思い切り抱きついてきた。 「るい!!!!!!!!!!!!!!!」 劈くような声に私は片耳を小指で塞ぐ。もう片方の手は彼女の頭を撫でた。 「どこ行ってたの?!一人にしないでよ! 」
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