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ここまで怯える彼女を見るのが初めてで、でも、今の状況で1人はとても怖いのだろう。 そりゃそうだ。 自分の軽率な行動を反省し、そばに居ることを確かめさせるために、そっと彼女を抱きしめる、彼女は私の胸の中で泣いていた。 「ごめんよ?香織……お茶を買いに行っていたんだよ。ミルクティー飲むかい? 」 そう聞くと彼女は首を横に振った。私は彼女を抱きしめつつ、片手でどうにかお茶のペットボトルのフタをあけ、飲む。 喉の乾きが落ち着いてサイドテーブルにペットボトルを置こうとする。 「ルイ……? 」 彼女の声がして、首を傾げると、私の胸に顔を埋めながらポツリとつぶやいた、 「襲われてよかったねって言われるのって、今の私だと普通なの? 」 その疑問は、彼女にとってずっと、頭を悩ませていたのだろう。 私は首を横に振った。そんなわけないだろう。どこの世界に襲われてよかったという人間がいるんだ。 あ、昨日いた。 あのクソ警官だ。 今更ながらにさらに怒りが沸いた。 私は貰った名刺を取り出して、その連絡先に電話をした。 そして、出た頼りなそうな女性に怒鳴りつけた。 昨日来た女警官の上司を呼べと。 怒鳴り声にそうとう、迫力があったのか。男性の警官に変わる。初めは訝しげに聞いていたが、クレームと知ると、慌て始めた。そのあと 昨日対応した人間の上司に変わった。 私は昨日の事を全て説明した。土下座までされたが納得いかない。 説明を、聞いた上司らしい人間は大きくため息をついて、言葉を吐き出す。 「え、でも、男性なんですよね? 普通、男性が男性を襲いますか? 虚偽の被害申告ってダメですよ?うちの警官はそのことを言ったんだと思いますよ」 私は笑い出したくなった。 いや、まさかここまで、アホだとは。 「今の発言、録音させて頂きました。あなたよりさらに上の人間に聞いていただき公平な判断をしてもらいたいです」 何も言えなくなるその上司に畳み掛けるように怒鳴りつける。 「何とか言えや!!!!」 プツリ。切断音が聞こえ電話が切られた。私は、もう一度電話をする。 出た人間に同じ話を繰り返す。私は早くさっきの人を出せと怒鳴りつけた。 また、同じ人が電話口に出て今度は態度を一変させた。 ひたすら、へりくだりなかったことにしようしている。 私は穏やかな声で伝えた。 「いいえ、1度言われた言葉は二度と忘れませんよ。きちんと上の方に対応していただきますから」 そして、受話器を置き、今度は友人に電話をかけた。 公安部の友人の白崎京花は、無口だが、優しい女性だ。 「どうした」 事情を話し、警官の対応も伝えると、電話越しからでも怒りが伝わるような口調で警官の名前と所属を尋ねられた。 正直に伝え、厳重な処分をくだすように依頼する。 「すまないな、警察の汚点だ、本当に」
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