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翌日から私は仕事に復帰した。生活が成り立たない。彼女は家にいて家事をするといっていたからそれを信用していた。だから、私は何も考えないようにして仕事をしていた。
午後、また雨でも降りだしそうな天気の中、警察から着信が来た。
その
嫌な予感が頭を過る。
「古崎 雄一郎さんの恋人でしょうか? 」
その名前は彼女が忌み嫌っていた名前。もう、とっくに捨てているはずの名前。
そして、告げられたのは残酷な真実。信じられない。
仕事を抜け出し、家に帰り、大嫌いな警官を振りほどき、目にしたのはシートに乗せられた彼女。首の周りには紫色の跡が。
「嘘・・だろう? 」
こぼれだした言葉。うっすらと頬に涙の跡、現実味がなくて僕は彼女の頬に触れた。
「起きて、ほら、起きてよ。頼むから、帰ってきたよ、ねぇ」
そんな言葉におかえりなさいと起きだしそうな雰囲気で。でも、彼女は起きなくて。私は、瞼が動かない彼女を見て、ようやく理解した。
彼女が私を置いて一人で、空へ旅立ったということを。私を孤独にしたことを恨むことはない。でも、孤独にさせたのは、警官のせいだということ。
私はその場に崩れ落ち、憎悪の中で叫びそうになった。
彼女の表情は、笑顔にと取れる安らかな表情でまるで、この世の苦痛から開放される喜びを表してるようで。
あぁ、それほどまでに旅立ちたかったのかと思うと、胸が苦しくなる。
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