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受付で綺麗なお姉さんに
「本日はどうされましたか?」
と聞かれたアイカは
「腸内力士についてなんですけど・・・」
と恐る恐る切り出す。
(もし、何ソレ?って馬鹿にされたらどうしよう。
恥ずかしすぎる。
走って逃げよう。)
しかし、そんな心配とは裏腹に
「あ、はい、腸内力士ですね。では、こちらの問診票に記入して持ってきてください。」
とすんなり受け入れられた。
安心と拍子抜けで大きなため息をついたアイカは、椅子に座って問診票に記入し始めた。
一枚はよくある問診票。
しかし、もう一枚は「腸内力士専用問診票」だった。
診察もごく普通の診察で、おなかに聴診器を当てたり、触診をした。
一通り終わると医師が言った。
「軽い便秘ですね、ひとまず十両で様子を見ましょう。
専用サイトの動画は見ましたか?」
アイカが「はい」と返事をすると医師は頷いた。
「15日間試してみてください。もし、効果が弱いようでしたら平幕にしますのでご相談ください。お大事に。」
そうして薬局でもらった処方薬はごく普通のカプセルだった。
ただ、薬剤師の説明がいつもより力が入っている。
「いいですか、力士は『一日一番』ですから。
必ず毎日、時間を決めて『はっけよい』してくださいね。」
他の人にジロジロ見られてアイカは恥ずかしかった。
(そうですよね、薬局で『力士』とか『はっけよい』とか意味不明ですよね。)
アイカは帰宅してカプセルを飲んだ。
『効果が出るのは10時間後』
(明日の朝には丁度いいかな)
アイカはそう思いながらいつも通り就寝した。
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