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「私さ、最近便秘気味で。」
アイカがため息をつきながら言った。
会社の給湯室で午後のお茶当番だったユキとアイカは雑談に花を咲かせていた。
そんな時、何かの話の流れで不意に出た言葉だった。
それを聞いてユキの目がキラリと光る。
「実は私も超!腸!便秘で!」
アイカはユキの勢いに若干圧倒されている。
「う、うん、そうだったの?」
「思い切って『腸内力士』導入したんだよ〜!」
「腸内力士?何それ?脳内彼氏みたいなノリなの?」
私が聞き返すとユキは残念そうに
「はぁ〜、やっぱ、知らないよねぇ。」
と盛大なため息をついた。
怪訝な顔をしたアイカに気がつくとユキは続けて言った。
「ベンパーの中では結構有名な情報だったから。」
「ベンパー?」
「便秘の人をベンパーって呼ぶの!」
「そんなラッパーみたいなノリで?」
「後、サーファーとかもそんな感じでしょ?」
「サーファー、ラッパー、ベンパーって並んだら断然ベンパー弱そうだけど・・・」
アイカは笑いをこらえているが、ユキはそんな事全く気にせずコーヒーメーカーに水をセットし、自慢げに言った。
「そこがベンパーのチャーミングポイントなのよ~。」
アイカは初めて聞く言葉の数々に困惑しながらも、急須にお茶を入れながら聞いた。
「そのベンパー仲間?で有名なの?何だっけ?腸内・・・?」
「腸内力士ね!凄いのよ!力士ってなんかランクあるの知ってる?」
「番付ね?」
「そうそれ!便秘の重さによって使う力士が違うんだよ!」
「一番強いのが横綱とか?」
「そう~~!よく知ってるじゃん!」
「それ位は知ってるよ。」
「ちなみに私の番付は『小結』!」
「いや、分かりづらいわ。」
「一応三役だけど、その中でも一番下の地位かな。」
「えー?どんな感じ?」
アイカの問いかけで、ユキは紅茶パックを入れる手を止め考えた。
そしてパッと目を見開いて言った。
「あ、分かった!社長が横綱なら専務が大関で、常務が関脇、本部長が小結!」
「へ~、意外と偉いんじゃん!」
「そうなの~、私、本部長!」
アイカがユキを肘でツンツンするとお手本のようにユキは照れたポーズを取った。
「私ね、1週間に1回お通じあるかどうかで。思い切って病院行ったの。
そしたらそこに『腸内力士始めました』って張り紙が。」
「なんなの、冷やし中華みたいな。」
「半信半疑だったんだけど、やってみたら生活一変!快適生活!やめられない、止まらない!」
「大絶賛が凄い。」
「後で『腸内力士公式サイト』教えてあげるね!」
「ホント?ありがとう!」
全員分のお茶をトレーに乗っけながらユキは「任せて!」と言った。
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