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「だって、だって伏真クンはこんなに小さくって」
と言いながら、膝辺りに手を遣る。
「俺はぬいぐるみか!」
思わずツッコむ。
そんなに小さな人間はいない。
そして、そういうことかと、何かふわっとわかった気がした。
「持岡さん。俺を忘れていたね」
理由はわかる。
俺が小さかったから。
恋愛対象外だから。
そうだろ? と指摘した。
「伏真クンだけを忘れようとしたわけじゃないんだけどね。引っ越しが唐突で、友だち全員に連絡取っちゃダメと言われて、できなかった」
持岡奈保が微苦笑して俯いた。
連絡できなかったのは俺だけではなく、友人すべてを捨てて引っ越さなければならなかった。
「大変だったな」
「うん、ちょっとね」
「頑張ったな」
「好きな仕事ができているから、まあいいか……って」
「そんなおまえに提案がある」
俺はニヤリと笑う。
持岡奈保へと人差し指を立てた。
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