少年にあらず

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 人差し指で持岡奈保をロックオンする。  その理由?  最初に宣言したはずだ。 「嫁に来い!」 「は?」 「浜辺に居るおまえを、俺はひと目で誰だかわかった。そして中学生のときに立てた目標を思い出した」 「中学生のときに」 「俺はバスケ選手のおまえに幾度となく助けてもらった。その恩義をいつか返そうと誓った」 「それが嫁と関係あるの?」  ある!  俺は胸を張る。  中学生の俺は彼女に幸せをもたらす者になろうと決意した。  いきなり幸せになどできない。  どうなれば幸せと思ってくれるか。  何もわからないから、背の低い俺は妖精さんのようにこっそりと小さな親切で返していこうと思っていた。 「少しずつ返そうとしていたら、おまえんち全員が居なくなっていた。ぼう然としたんだよ俺」
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