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喧嘩両成敗にはならなかった。自己防衛行為だったという反論は認められなかった。
後遺症が一生残る大怪我を負った相手は被害者と言われ、怪我させるつもりもなく、逃げるために枯れ枝に振り回しただけの不運な兄は、罪をあがなうことになった。
それが事件の真相。真実。
彼女の家族、兄を知る友人知人近隣住民は同情していた。
だが知らない者たちにとって、兄は犯罪者でしかない。
「肝心なとき、俺は恩返しできなかった。傍に居なくて、知らずにいて、ゴメンな」
つらかったな。
持岡奈保に謝る。
詫びる俺に、持岡奈保が冷笑した。
見下ろすように目を細めた。
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