少年にあらず

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 だから俺はとりあえず訊く。 「俺の嫁になるんなら、協力もやぶさかではないが」 「そうねぇ。キラキラ弾けるような笑顔を見せて茶髪を風にサラサラなびかせている君が、十八歳を過ぎてから考えるね」  だから今はモデルの後ろに立ってほしいと願う。 「俺はとっくの昔に十八を過ぎたが」 「あら、そうなんだ。高校生に見えるね。じゃあ、二歩後ろに立ってね」  話を聞いちゃいない三十歳ほどの、背がやたら高くてスポーツが得意そうな精悍カメラマン女子が指図した。 「俺の会社、雑誌とかに出るのは煩いんだが」  広告に使用するものならば、なおさら厄介だ。うっかりライバル社のポスターに載ったら辞表ものだ。
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