少年にあらず

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「小さな頃から言われ続けてきたよ」  俺はフフンと笑う。 「おまけに背も低かったしな」 「年齢相応に見られなかったんだ?」  青色がぼやけてきた水平線を連写しつつ、持岡奈保がニヤリと笑う。 「中学生のとき、ランドセル背負って小学校に行け! ……なんて、いつもからかわれてイヤな気分でいたよ」 「イジメられたの?」 「深刻なイジメには発展しなかったな」 「庇ってくれた人が居たんだね」  持岡奈保が海から俺へと目線を向けた。よかった、という顔を見せた。 「そうなんだよ。助けてもらえた」  高校生時代に背が急激に伸びた。  俺、こんなに大きくなった。  誇らしげに会いたいと思った。  庇ってくれた人は引っ越していた。
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