少年にあらず

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 それほど親しい間柄ではなかった。  中学生のときはまだLINEがなくて、軽くゆるくつながる友人関係など構築できなかった。  キャリアメールアドレスの交換など、おそれ多くて言い出せなかった。中学校を卒業して関係が断ち切れてしまった。  だけど住所は知っていた。  いつでも会いに行ける。  そう思っていた。  高校二年生のとき、家を探した。その人は家族と引っ越したあとだった。 「もしかしてそれ、女の子だった?」 「その通り。大正解」  正解者に拍手! 「俺の童顔を笑っていたけどね」 「そんなに良い顔なのに」  笑う意味がわからないと、首を横に振る。 「中学生だったし。それにいつも上を向いている子だったから」
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