期待

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期待

「…きて…て…おきて。はぁ、起きろォ!!」 優しい女神の囁きは突然鬼の咆哮へと変わり深く深く眠っていたはずの俺を文字通り魂にまで響く声で叩き起した。俺は現状を理解出来ずにあたふたしていた。すると、目の前の声の主と思しき女性が俺に話しかけてきた。「おはようございます。そして、ご愁傷さまでした。」笑顔でそう言い放つ彼女の言葉に俺の頭はどうやらまだ追いつかない。しかし、そんな俺を置き去りに彼女はこう続けて話す「貴方様は先程亡くなりました。でも、ご安心ください。貴方様にはこちらの方で転生先を手配させていただきますね!!」 ー転生ー この言葉に俺はようやく反応することが出来た。「転生って今流行りの異世界転生!?」とは言ってもオタク丸出しの程度の低い回答だったが彼女は案外冷たくそれに答えてくれた。「いえ、あなたがた現世の住人の流行りなんて私たちは一切預かり知らぬ事ですから貴方様が今からする転生と同一の物かは知りません。」彼女はその柔らかなで可愛らしい見た目からはあまり想像出来ない冷たさを俺に向けてくるどことなく笑顔も貼り付けた仮面のようだ。このまま彼女と話していても大した展開はないだろうし拒否権も無さそうだ。ここは一つ噂の転生をさせてもらいますか!!「わかった。とにかく転生すればいいんだな?」俺のこの話を早く済ませる用な言葉のチョイスが良かったのか彼女の仮面の笑みは少し本心からの物が混じった気がした。「その通りです。それでは来世でも頑張って下さい!!あぁ、言い忘れてましたけどあなたのDTポイントが結構溜まってらしたので転生後の世界は20代半ばからのスタートとさせてもらいますね!!」ん?DTポイントだと?はて…死後の世界にもポイントカードが適応されるとは…まぁ、色んなポイントカード作っておいて正解だったな!!なんて呑気な事を考えた次の瞬間それが生前に俺が所持していたどのポイントカードにもそんなポイントは無かったこととDTが俺に当てられた男の最大の不名誉な称号である”あれ”と同じイニシャルな事に気づき俺は激しい絶望の中光に包まれていったそして意識が途切れる瞬間俺は誓った「来世では卒業してみせる」
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