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僕がグラスをテーブルに置くと、千鶴さんはまずは液面をじっと眺めた。
さすがにそこで区別はつかないと思うのだけど、探偵モードの千鶴さんなら何かわかるのかもしれない。
「アイスだと香りはちょっと弱くなるね」
そう言ってからひと口、千鶴さんはコーヒーを口に入れた。
ゆっくり味を確かめるようにしてもうひと口。
「うん、おいしい」
利きコーヒーをしていることを考えたら、第一声としてはちょっと違うような気もするけど、嬉しそうな笑顔が見られたから、僕にとっては何の問題もない。
「どうですか? わかるものですか?」
僕が口数を増やせば、千鶴さんに余計な情報を与えてしまいかねない。
不利になるだろうとはわかっているけれど、話しかけずにはいられない。
「うーん、わかんないね。いつものって言われればそんな気もするし、なんとなく違う気もする」
なるほど。
ちなみにこれはいつものコーヒーではなく、ドリップ式のコーヒーだ。
僕も試しに飲んでみたけれど、僕も同じ感想だ。
今回用意したドリップ式のコーヒーは、普段のインスタントと同じメーカーのものなので、それほど大きな違いはないようにも思える。
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