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「蓮くん、今は何をしてるの?」
僕の視線に気付いたのか、パソコンの操作をしながら千鶴さんが口を開く。
僕にとっての至福の瞬間が訪れた。
「今は、経理の仕事をしてます。といっても、過去に記録したもののチェックですけど」
「そっち系は蓮くんが全部引き受けてくれてるからね、ホントに助かるよ」
昇天してしまいそうなほど嬉しい気持ちになったが、それは僕にはもったいないお言葉です。
これくらいできないと、いよいよ僕がここにいる意味がなくなってしまいます。
「何かすることありますか?」
これは僕が一年を通して最も多くする質問だ。しかし大半は、特にないと言われてしまう。
それでも僕は、めげずにこの質問を続けるのである。
「そうだねぇ。じゃあ、今日はちょっと、重要なお仕事をお願いしようかな」
なんですと!
これは今までにないパターンだ。
ついに僕が、本当の意味で千鶴さんの役に立てるときが来たのか。
「は、はい。僕にできることなら、なんなりと」
予想外の展開に、僕の返答も少しぎこちなくなってしまった。
こんなときにもっとスマートに返事ができるようにしなければ。
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