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「最近さ、作家のお仕事で頭を使うことが多いんだ。だから、なるべく頭と言葉を使わないゲームがしたい」
千鶴さんにとって探偵業は、たいした頭脳労働ではないらしいことにもいちいち驚かない。
そしてこんなことを、ちょっと困ったような笑顔で言うものだから、僕がこの仕事を放棄することはもうできない。
今の表情もとてもよかったけれど、どうにかしていつもの笑顔を取り戻さなくては。
やはりこれは、僕にとってではなく、今井探偵事務所にとって非常に重要なお仕事だ。
「わ、わかりました。がんばって考えます」
「うん。楽しみにしてるよ」
「とりあえずコーヒーを用意しますが、ホットとアイス、どちらにしましょう?」
「んー、アイスでお願い」
楽しみにしてると言ってくれたときの明るい表情も、アイスと決める前に目線を上にして考える表情も、それはもうかわいくて、僕は気合を入れて炊事場へと向かうのだった。
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