第1話 小さな依頼人

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   2 「お待たせしました」 「ありがとー……え、なにこれ? いつもと違う!」 「今日はいつもよりちょっと豪華に、ウィンナーコーヒーにしてみました」 「わー、おしゃれ。喫茶店みたい」  いつか試そうと思って買っておいたホイップクリームを投入してみた。  疲れた頭に甘いものを提供して、少しでも千鶴さんを癒せればいいと思った。 「おいしーい。なんか元気出た。蓮くん、すぐ終わらせるから、もうちょっと待ってね」  幸せそうにとろける笑顔を拝めて嬉しい限りなのだが、仕事のペースが速まってしまうのはよくない。  僕がゲームを考える時間が短くなってしまう。  千鶴さんが作業を再開させたので、僕は休憩用のテーブルに移動して、これからするゲームを考えることにした。  簡単なルールで、どちらにも勝つチャンスがありそうで、かつ頭や言葉を使わないゲーム。なにがあるだろう。  ちなみに、ここでするゲームはありもののゲームは使わない。  たとえば、トランプはカードゲームとして使うのではなく、トランプタワーをどれだけ高く作れるかを競ったように。  別にそういう決めごとがあるわけではないのだが、今までがそうだったので、今回もその方向で考える。
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