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「は、はぁ…………もう気にしてないので良いですけど………。 俺の方こそすいません、あの時はカーッとなってしまって……」
「いえいえ、お気になさらず。 ルシアくんのお陰で、奴隷を良しとするなんて人にあるまじき過ちに気づけましたので、お互い様という事にしましょう。 それにしても、あのような素晴らしい野菜を作られるだけあって、とても心が清い方なのですね。 よろしければ、握手して貰えますか?」
凄いお喋りで、変わった人だけど悪い人では無さそうだ。
「え、えぇ…………」
俺は多少引きながらも握手を交わす。
すると一部始終を見ていたのか、バンダナの冒険者が、バンダナの隙間から鋭い眼光を覗かせ、問いかけてきた。
「少年。 答えは出たのか」
「…………答え……」
俺はその問いに一度は言葉を失ったが
「……いや、答えなんか出てないよ。 どうしたら良いのか、何が出来るのかなにも分かんないままだ」
「そうか」
「やっぱり問題が問題だけに、そんな直ぐには答えは出てこないよ。 けど、魔人がどうとか、そんな大きい問題は一先ず置いておこうかと思ってる」
「む…………?」
バンダナの人の言葉をとぎらせ、そう告げると彼は腕組みをして俺をジッと見つめる。
もしかしたら、俺が諦めたのかと思っているのかもしれない。
でもそうじゃない。 答えは出ていないけれど、見えたものがあるんだ。
「俺はただの農民だ。 誰がどう言おうと、俺はしがない、片田舎で暮らす農民だ。 あんたの言うとおり、権力も力もないのに何も出来はしないと思う。 ……けど、だからと言って、魔人の事は放っておけない。 でも今の俺にはどうしようもない問題だ。 …………だからまずは……」
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