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「ん、なに? なんか怒ってる? 私、なんかした…………かな。 ごめんね」
しまった。 独占欲やら嫉妬やらで気持ちがごちゃ混ぜになってしまい、不機嫌な感情が顔に出てしまったらしく、ノエルを困惑させてしまったみたいだ。
「い、いや怒ってないぞ。 気にしないでくれ」
「そう? なら良いけど……」
ふう…………女の子の悲しい顔は苦手だが、ノエルが悲しむのはより胸に来るからな。
安心してくれたようでなによりだ……と、胸を撫で下ろしていたその時。
シールの去っていった方向からふと幾つもの足音と、アイネさんの声がした。
俺とノエルはその声に反応して、振り向いた、のだがーーーー
「ルシア殿! 勇者様! 先程怒りに満ちたシールめとすれ違いましたが、何かあったのですか?」
「あ、ああ…………まあちょっとしたいざこざが………………え?」
その瞬間、自分の目を疑った。
アイネさんやグレアムさん、ルーネ達の他にもう三人新たに居たからだ。
他にもう一グループ来ると話に聞いていたから、別に驚く必要が無いのだが…………まあ、ともかく俺は驚いてしまった。
「…………お! ほんとに来てたんだね、あんた!」
「おや、やはり彼でしたか」
「ふっ。 思いの外早い再会だったな」
何故驚いたのか。 理由はそう難しくない。
ただ単に現れたその人達が、ピーニードで魔人の件で言い争いをした、あの冒険者達だったから……だ。
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