幼馴染みは勇者だけど俺はただの村人です

儀式

　ーールーシッド村・中央広場ーー

　ルーシッド村は山脈の窪地に建てられた村の一つである。
　その為、家屋は全部自然の恵みから得られる木が材料だ。
　家は全て木組みになっており、山小屋みたいになっている。
　村そのものは大きくない。
　小屋みたいな家が、円形の広場を中心に広がっているだけで、数も6程度。
　いわゆる限界集落ってやつだ。

　広場はみんなの憩いの場所だ。
　じいさん婆さん達が日がな１日此処でお喋りしたりしている。
　ただ今日は少し慌ただしい。
　なんたって数百年ぶりの勇者であるノエルの為に、勇者の儀が執り行われているからな。
　王都からは規制があるから来ていないが、近隣の村からは人がぞろぞろと。
　まあ儀式を見に来てる人だけじゃないが。
　この後の、とある催しが目当ての奴も中には居るだろう。
　そのせいで、いつもは閑散としている広場がぎゅうぎゅう詰めだ。
　俺はそんなごった返す人混みを掻き分け、1番前に躍り出た。