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確かにその島の小さな岬に、セットとして作られた電話ボックスが今でもぽつんと立っている。
観光地のはずなのに人が誰もいなくて、まさに『世界の果て』みたいに閑散としていた。
あの電話は誰かに通じるのかな?気になる気持ちを押さえて目的地に向かった。
世界の果てのミスタードーナツはグレーを基調としたシックな外装の店舗だった。内装も落ち着いた色味で、革張りのソファまで置いてある。
僕は店内に入るとすぐ、窓際の席を見た。ひょっとしたら彼がいるんじゃないかと思ったのだ。
窓際のソファは誰も座っておらず、空っぽだった。
僕はレジに立っていた、茶色いエプロン姿の少年に声をかけた。
「メッセージを受け取りたいのですが」
もちろん言葉が通じない。
少年は首を傾げて、バックヤードに向かって他の店員を呼んだが誰も出てこない。
僕は仕方なしにミスタードーナツ事務局から来た手紙を見せた。
彼は意外にもすぐ理解してくれたようで頷くと、沢山あるドーナツを指さした。『どれか選んで』という事なのだろう。
僕はシュガーレイズドを選んだ。
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