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そして三年目。
私の前には旦那が転がっていた。
あの愛すべき旦那が。
……結婚三年目。
三年目の浮気という言葉があるらしいが、全くその通りだった。
旦那は浮気していた。いつからなのかは知らないが、最近は帰りが遅く私の相手もしてくれなくなった。
脳科学的にも愛とは、三年が賞味期限らしい。なんでも、お互いを愛し合っている時にはオキシトシンと呼ばれるものが分泌されると言う。……所謂それが一緒に居たいと思わせる感情を作り出しているそうだ。他にも恋愛に関わるホルモンが活性化する事で相手を好きになるのだが、その効果も三年までなんだそうだ。
目の前には冷たい旦那が転がっている。
「浮気してるの?」と聞いた時の彼の慌てふためき様と言ったら今でも笑える。
三年経ったら、私も旦那を愛さなくなるんじゃないかって?
馬鹿ね……私は愛されている自分が好きだった。確かに私も彼を愛していだけれど、私は、私を愛してくれる人の側にいることだけ考えていた。
今だってそうだ。
一回の浮気くらい許してあげる。
でも今度は絶対私から離れちゃダメよ。
あぁ、そうそう……結婚三周年の別名は革婚式。『丈夫で、粘り強い革の様に夫婦生活を送りなさい。』そう言う謂いわれがあるらしい。
だから私は旦那の皮を剥いだ。
私は旦那を愛すし、旦那も私を愛してくれる。
三年目の記念日には彼から革の財布を貰った。
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