1人が本棚に入れています
本棚に追加
三年目の結婚記念日に革の財布を貰った。
確か結婚一年目の記念日は、サプライズでレストランへ連れて行かれた。メニュー表は英語なのかフランス語なのかよく分からない単語がミミズの様にのたうち回り頭に「?」が浮かぶ。
けれど旦那は出来た人で、しっかりコース料理を予約しており注文に困ることはなかった。ただ、強いて言うなら、出てきた料理の食べ方……所謂、テーブルマナーが分からず二人で「それ飲み水じゃなくてフィンガーボールだよ」だったり、「どのフォークを使えばいいんだろね?」とか、「パンはおかわり自由なのかな?」と首を傾げながら恐る恐る料理を食べた。
レストランを出ると旦那は少しもじもじしながら私に何かを手渡した。
「花?」
「匂い嗅いでみて。」
私は旦那から手渡されたブーケに鼻を近づけて嗅覚を尖らせる。
「わぁ!いい香り。」
その花の香りはアロマが漂った。
よく言う花の香りというよりは、嗅ぐとリラックスできる甘い匂いだった。
「それね、フラワーブーケって言うの。」
旦那は少し自慢気に話した。
なんでも結婚1周年は、紙婚式と呼ばれるらしく、白紙の状態から将来の夢を願う意味合いがあるらしい。
私はもう一度貰ったフラワーブーケを見る。
花の脇には一通の手紙が添えられていた。
旦那が言うには「紙婚式だから手紙を書きましたー!」と子供らしさの残る笑顔でそれを読み上げてくれた。
……内容は読み上げる旦那も、私も頬を赤らめるもので……嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!