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あの日、いくら待っても、樹里は居酒屋にやってこなかった。
樹里が隣にいない打ち上げは、退屈で、二時間は永遠に続くようにも思われた。
いつも、醤油の味がしょっぱいからあげも、塩辛すぎる枝豆も、その日は味がしなかった。
他の団員も樹里に連絡を送ったらしいが、次の日も、その次の日も、そのまた次の日も、いつまでたっても樹里からの返信はこなかったそうだ。
わたしはそれから、樹里と会うことのないまま、実家に帰ることになった。
仕事は思ったよりも楽しい。でも、やっぱり舞台が好きで、休日には市民団体で演劇を続けている。
そんなこんなで、またしばらくするとわたし宛に差出人不明の郵便物が送られてきた。
見慣れた字の書かれた白い封筒の中には、シェイクスピアの「お気に召すまま」が一冊と、舞台のチケットが一枚入っていた。
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