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―――
「よし!計画通り!」
一部始終を見ていた蘭も身を乗り出した。
家康はわざと義元を怒らせたのである。キレると前後不覚になるという義元の性格を逆手に取った、ずっと義元と共に過ごしてきた家康だからこそ実現できた作戦だった。
「この裏切り者めが!」
「あっ!!」
その瞬間、蘭は見た。義元がゆっくりと右手を動かしたのを。
一回、二回……そして………
「信長様!今です!」
「!?」
蘭の声が響き渡る。真っ直ぐ指を差したその先には、今まさに槍を取り寄せた義元の姿があった。
義元の瞳が蘭を見て驚きと恐怖で丸くなる。その刹那……
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