立ち向かえ、時を操るに至る衝動的な魔物

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 特に会社では変わったことは何もなく、僕は業務を終え、帰宅することにした。  結局タイムリープの理由はわからなかったが、そんな事はもはやどうだっていい。これで明日は休みだ。それだけで充分だ。  帰宅の最中、せっかくなのでタイムリープの成果物であるラーメン屋のポイントカードを使用しようと思い、2日続けてではあるが、昨日のラーメン屋に向かい、夕食を済ませた。  会計時、ポイントカードを取り出そうと財布を開き、ふと気が付いた。  ――ポイントカードが無い。  どこかに紛失したらしい。  ふざけるな。  せっかく半チャーハンや餃子を無理矢理頼んでまで集めたのに、紛失は酷い。コンプリートしたポイントカードの紛失なんて、(むご)すぎる。それなら、前回の押し損ねの方が、遥かにマシじゃないか。  僕は財布も鞄もポケットも、全てを探した。  でもやっぱり、ポイントカードは見つからなかった。  ――なんてことだ。  ――なんなんだ。  全てが嫌になった。  何も楽しくない平日を繰り返させ、僕の休日を先延ばしにした挙げ句、この仕打ちはあまりに酷い。酷すぎる。  深い絶望感が込み上げてくる。  漆黒の絶望感が僕を包み、ついでに白い霧が僕を包む。  ……白い霧?  ……なんだか、見覚えがある。  見覚えのある白い霧が僕の意識を塞ぎ、暫くしてから目を開けると、僕はまたベッドの中で携帯電話を覗き込んでいた。  5月29日。  日付は、また戻っていた。  ――次はポイントカードを失くさないようにしよう。  僕は明確となった旅の目的と新たな決意と共に、休日までの日数をもう一度数え、呆然とした。 〈了〉
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