立ち向かえ、時を操るに至る衝動的な魔物

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 携帯電話の日付表示を見る。  5月29日。  明らかにおかしい。  改めて考えてみても、やっぱりおかしい。  僕は昨日の夜、明日が6月1日だということを確認してから寝た。  月が切り替わるタイミングだったし、6月1日は休日である土曜日なので、間違いようがない。  にも関わらず、携帯電話の日付も、ニュースや新聞の日付も、人に確認した日付も、全てが5月29日となっている。一体どういうことだろうか。  思い起こせば奇妙だったかもしれない。  5月31日と記憶していた夜、僕は日付が変わるくらいの時間帯に床へ着いた。そのまま眠りにつくであろう頃、意識の内側から白い霧のようなものが発生し、そのまま意識が途絶えた事を覚えている。眠りにつく際の意識の混濁だとばかり思っていたが、よく考えれば、眠りにつく間際の記憶なんて通常なら覚えているはずがない。  意識が霧を振り払った時、気が付いたらベッドの上で携帯電話を握り締めていた。その日付表示が5月29日の水曜日だったものだから、僕は慌ててニュースやら新聞やらを確かめて、半信半疑ながら会社へ向かったのだが、一度終えたはずの仕事が終わっていなかったり、上司が以前聞いたことのある話を再度するものだから、何かがおかしいと周囲を更に探ってみても、やっぱり5月29日だったのだ。
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