立ち向かえ、時を操るに至る衝動的な魔物

　しかし気が付いたところでどうしようもなく、とりあえず以前と同じ仕事を同様に終わらせ帰宅してきて今に至る。これは一体どういうことなのだろう。

　もしかして、僕は3日前に戻ってきたとでもいうのだろうか。

　にわかには信じられないが、いわゆるタイムリープだとしか思えない。あの意識の白い霧がきっかけで、僕の意識は3日前にタイムスリップしたのだ。

　他の人達は普通に、違和感なく過ごしていたようなので、おそらくは僕の中の何かがきっかけで、僕だけが3日前に戻ってきたのだろう。僕にそんな能力があったことには驚くが、しかし、一体何故時間が巻き戻ったのだろうか。

　例えば、漫画やドラマで時間が巻き戻る場合は、何か重大な問題を解決して未来を変えたり、人生を変え得る重要な選択をやり直したりするために行われるものだと思う。
　であれば、僕のこの逆行も、何か相応の理由があるのではないか。

　僕は暫く考えてみた。

　でも、いくら考えても、この3日間に特別なイベントや何らかの重要な選択肢なんて、やっぱり無かったように思う。

　……一体なんなんだ。

　僕は普通に会社へ行き、働き、ご飯を食べて寝た。これを3日間繰り返していただけなのに、一体何をやり直せというのだろうか。

　僕はタイムリープした理由を探さねばならない。
　もしかしたら何か重大な見落としが、それこそ僕の人生を変え得る特別なターニングポイントが、この3日間に潜んでいたのかもしれない。

　一体何かはわからないが、その理由を探して何かをやり直さなければ、タイムリープした意味がなくなってしまう。それは、なんだかもったいないと思うのだ。