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クラスメイトたちが、カリカリとシャーペンでテストを解く音が響いていた。
結局流とは今まで通りのまま、いつもの日常が繰り返される。
今日の小テストは古文単語だった。約束どおり、このテストも横田くんと点数を競っている。
「はい終わり。隣と交換して、採点して」
教師の一言で教室にざわめきが戻る。
「あー、今回出来なかった」
横田くんは頭をかいた。
なんか可愛いと思いながら、平静を装い答える。
「ふぅん。私は出来たけどね」
「嫌味だなぁ」
採点して返し合ったテストは、やはり私の方が点がよかった。
「ねぇ、罰ゲーム考えたんだけど」
「なに?」
「痛い思い出ってある? それ教えてよ」
私は思い切って聞いた。
「痛い? え? けがとか?」
「じゃなくてさ、痛々しいっていうか、その……。今の自分が振り返ったら見てられないなっていう思い出」
「えぇ、そんなのないしな」
「そっか……」
やっぱり、横田くんは私と違う人間なのだ。いつも真っすぐに生きてきて、目をそむけたくなるような思い出なんて持っていないんだ。
「だから頑張れるんだよね」
「は?」
私がつぶやくと、横田くんはむっとしたような声をあげた。
「もしかして、真北って過去のことで、なにかの言い訳してる?」
鋭いことを言われて、私は一瞬固まった。
「そんなことない」
「あ、一個あったわ」
「え?」
「だから、痛い思い出」
横田くんはそっぽを向きながら答えた。
「今日の放課後、演舞の練習まで時間あるんだ。そのとき話す」
「え」
「話すのが罰ゲームなんだろ?」
思いがけず、放課後の約束までしてしまった。私はうなずきながら、横田くんが採点私てくれた小テストをそっと折り畳んだ。
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