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教室に着くと、流はまだ来ていないようだった。
正直少しほっとしながら、席に着くと、すぐに、隣に横田くんが座った。
「おはよう」
「あ、うん、おはよ」
駅で見たことは何もなかったかのように、普通の態度だった。もしかしたら聞こえてなかったのかもしれない。とにかく、今は横田くんが話しかけてこないことがありがたかった。
ホームルームが終わり、教室を出て行った担任教師と入れ替わるように流が登校してきた。流の友達、翔平も一緒だった。
「えー流たち、遅刻ー?」
「寝坊?」
加奈やクラスのみんなが次々声をかける。
「別にー。ちょっとだるかっただけ」
いつも通りの流の声が聞こえた。
「ノア、一時間目世界史だよー。教室移動しよ」
加奈に話しかけられてはっとする。
「そうだったね、行こうか」
急いで教科書とノートを用意している間、加奈は流と翔平にも声をかけに行った。
「あー俺らはいいや、先行ってて」
翔平が苦笑いで加奈の誘いを断った。
「先? 何で? いつも四人で行くじゃん」
困惑した顔の加奈が流を見るが、流は無視している。おそらく、流は翔平に、私と別れたことを話したんだろう。いずれは加奈も知ることになる。その日から私はクラスで孤立することになるんだ。
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