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1,たぶん私、だいじょうぶ
窓の外で、グラウンドの砂がきらりと光った。
小学生のころ、授業中にグラウンドが光っているのを見て、宝石が落ちてるんだなんて、とっておきの秘密を見つけた気になった。
次の休憩時間に急いでグラウンドに出て宝石を探したけど、そんなものはどこにもなかった。
砂に含まれる小さな鉱物が、太陽の光を反射して光っただけなのだと気が付いたのは、いつごろだっただろう。
高校のグラウンドは、小学校のそれより広い。校舎からみて右奥はテニスコート、左奥は野球場になっていて、放課後の今、それぞれの部が練習で使っていた。
それらに挟まれるグラウンドの真ん中では、体育祭の準備がされていた。ちょうど部活対抗リレーの練習が終わったところだ。
「グラウンド空いたので、ダンス部の演舞、はじめまーす!」
よくとおる声が外から聞こえてきて、私は誰もいない教室で急いで立ち上がり、鞄を持ち上げ階段をかけ降りた。
背中で髪がふわふわ揺れる。
靴箱まで行くと、すでに音楽が流れていた。少し小走りで校舎を出て、グラウンド横を歩く。校門に続く道からは、グラウンドがよく見える。
ダンス部が体育祭で披露するため、演舞の練習をしていた。和太鼓や横笛の音がして、「日本のお祭り」が思い浮かぶような和風の曲が流れていた。
でもリズムは現代ぽく激しめで、少しロックみたいな感じもする。ともかく聞いていると身体を動かしたくなってくるような曲だった。
興味ないふりをして歩きながら、横目であの人を探す。
このタイミングだ。音楽が最高潮に盛り上がり、すっと静かになったところで、あの人が後ろから前に出て来る。
そんなことを覚えてしまうほど、私はここ最近、この演舞にひかれている。いや、演舞をするあの人に、と言ってしまっていいかもしれない。
あの人……横田くんは、大勢の真ん中に立って、堂々と舞っていた。
手には扇を持ってひらひらと振り、流れるように舞う。
川のような、風のような。
横田くんは、ただの体操服で踊っているだけなのに、私はいつも古代の儀式を見ているような気分になる。
ひどく惹きつけられて、目が離せない。
段々と曲と舞が高鳴ってきたと思うと、横田くんはパンと扇を閉じて次にはバク転をする。
それを合図に曲がいっそう激しくなり、部員全員が前に出てきて、横田くんは見えなくなる。それを確かめ、私は歩みを早めて校門を出た。
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