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2021年
そこに、一人の青年がいた。
その青年は二十三歳。
彼は今年、NGO団体を立ち上げた。
身寄りのない子供達に、里親を斡旋する団体だ。
一人でも多くの子供達が、愛に飢えることなく生きていけるよう、彼は今日も
全力を尽くしている。
そんな青年は、八年前より、年に一回、とある場所を訪れる。
「今年も来たよ。」
青年は呼びかけるが、返答はない。構わず青年は話し続ける。
「俺、NGO団体を立ち上げたんだ。一人でも多くの子供達が、俺みたいな苦しみを味わなくていいように、全身全霊、取り組むつもりだ。そして、俺は生きる。君の分まで、幸せになるために。何十年後かに、君の所に行ったときに、君を失望させないような、君に喜んでもらえるような人生を歩む。だから、安心して待っていてくれ。」
その青年は静かに手を合わせる。穏やかな風が、彼を包み込んだ。
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