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「ごめん、聞こえなかった。もう一回言ってくれる?」
「別れ話をしましょう」
「え?なんで?」
「別れてください」
「いやいや、なんで?」
「今までありがとうございました」
「だからなんで?」
「ごめんなさい」
「いや、会話になってないよね、いま俺たち」
彼女が言葉に詰まった。別れ話をしようと言い出したわりにはちょっと、準備が足りなかったんじゃないのか? それとも「別れましょう」→「了解」みたいに終われるとでも思っていたんだろうか。いやいや無理だろ。無理にもほどがあるだろ、それは。
黙り込んでしまった彼女。でも、前言撤回するつもりはないようだ。潤んだままの瞳でじっと唇を嚙みしめている。泣かせるようなヒドイこと、何かしたっけかな?覚えがないな。
「とりあえず、理由を言ってみようか」
なんだろう、このlet'sみたいな感じは。自分なりの動揺がこういった形で現れるとは。
「俺、何かした?」
彼女は首を横に振った。とりあえず、ホッ。
「じゃあ、なんで?」
そうなると、自然と話はこのページの頭に戻る。
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