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テレビはニュース番組を映していた。
優一は画面に顔を向けたまま、横目で抜かりなく後藤夫人の身体を観察した。後藤夫人は色白で肉付きがよく、華奢な愛子よりもずっと優一の好みに合っていた。
L字型のソファの一辺に愛子と後藤夫人が並んで座っており、優一はその斜向かいに座っていたので、夫人の身体を盗み見るのに都合が良かった。
いい女だなあ。
一度でいいからこんな女を抱いてみたいもんだ。
夫人の身体から漂う甘くエキゾチックな香水の香りは、50歳のものとは思えない溌剌とした色気によくマッチしていた。
俺はまだ48だ。
枯れる歳じゃない。
妻がもし後藤夫人のような快活かつ肉感的な女であったならば、毎週…いや、3日にいっぺんは身体を重ねていただろう。
愛子とはかれこれ何年も床を共にしていないが、それは俺の精力が衰えたせいじゃない。
性に対する興味と探究心を持たない愛子のせいなのだ。
優一は夫婦がセックスレスに陥った原因を愛子だけに求め、その責任をすべて押し付けた。
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