理解ある夫

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優一はいま一度、後藤夫人の胸元に射るような視線を向けた。 85…いや、90はあるぞ。 いやいや、もしかしたら100cm以上あるかも…。 頭のなかで豊満な裸婦像がその完成をみた瞬間、優一は前傾姿勢を取らざるを得なくなった。 ほら、見ろ。俺だってまだまだ男なんだ。 優一は、愛息が三叉路の突き当たりにぶつかって立ち往生しているのを認めて、彼が左に進路を取れるように腰を浮かせた。 彼は素直に左へと進んだ。 「あら、7時ね。チャンネル変えてもいいかしら?」 それまで交わしていた他愛もない会話を中断して、後藤夫人がそう提案した。 「ええ、どうぞ」 優一はテレビのリモコンを夫人に手渡した。 夫人は迷うことなくチャンネルを選択し、テレビには情報番組が映し出された。 進行役を務めるアナウンサーがニュースを紹介し、タレントたちがそれについてコメントするという、よくあるタイプの番組だった。
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