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「どんな仕事であろうと本人が誇りを持ってやっているのならば、恥じることなどありませんよ。職業に貴賎はないというのが私の持論です。AV女優という職業をむやみに蔑む人もいますが、彼女たちの仕事には性犯罪抑止などの社会貢献もありますし、むろん法に反している訳でもない。私はAV女優という仕事を立派な職業だと思います。本人が好きでやっているのならば、なにも問題はありませんよ。自分が好きなことを生業にするのはいいことですからね」後藤夫人は優一の演説を聞き終えたあと、口元にうっすらと笑みを浮かべた。
優一の目には夫人が自分の意見に感心しているように映った。
そしてその印象は、続く夫人の言葉を聞くことで確信へと変わった。
「まあ。ご主人は進歩的な考えをお持ちなのですね。私、ご主人のような理解ある夫を持った愛子さんが心底羨ましいわ。うちの主人なんか、『子供が起きている時間にこのような職業の者をテレビに出すな』のひと言で片付けてしまいますからね。歳のせいもあるのでしょうが、主人は考え方が古くさくて…」
あ〜あ。
愛子も後藤夫人のように開放的な性格だったらよかったのに。
若い頃はおっとりしたところを可愛いと思ったものだけど、少し大人しすぎるんだよなあ…。
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