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優一は、後藤夫人が夫を非難したことを嬉しく思った。
夫人は明らかに後藤氏に対して不満を抱いている。
夫人の話しぶりから察するに、どうやら後藤氏も愛子と同様に性への探究心がなさそうじゃないか。
であれば、後藤夫人は性的欲求を持て余しているに違いない。
すぐに夫人の身体をものにすることは出来ないだろうが、せめてその心に自分の存在を印象付けておいて、それからゆっくり時間を掛けながらああしてこうしてそうすれば…。
ひひ…ワンチャンあるかも。
優一は、いままで一度たりとも使ったことがない若者言葉を思い付いてしまうほどに興奮していた。
優一はさっき自分が言ったことを思い返した。
そして夫人からのリクエストに応えて、そのセリフをそっくりそのまま誦じた。それはまるで、すべてのレパートリーを歌い切ってしまった歌手が、さっき演ったばかりのヒット曲を同じ調子で歌っているかのような、安っぽいパフォーマンスだった。
「素晴らしいわ。ご主人は本当に、本当にそうお考えなのですか?」
「ええ。どんな仕事であれ、好きなことを生業にすることは素晴らしいことですよ。私は彼女たちの生き方を支持します」
「それはご主人の本心なのですね?」
「もちろんです」
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