理解ある夫

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土曜日の夕刻。 西陽が差し込む長澤家のリビングで、この家の主である優一と妻の愛子、そして後藤夫人の3人がテレビを観ながらくつろいでいた。 後藤夫人は同じマンションの下の階に住んでいて、優一はこれまでエレベーターやエントランスで顔を合わせていたが、膝を交えて話をするのはこれが初めてのことだった。 この日、優一は後藤夫人が家に来ることを知らされていなかった。 愛子の話によると、買い物先のスーパーで偶然後藤夫人と出くわし、帰りの道すがら話し込むうちに、思いつきで夫人を家に招待することに決めたのだという。 優一は気の利かない愛子に苛立ちを覚えた。 いつもこの調子だもんな。 電話一本くれれば、ちゃんとした格好で後藤夫人を迎えることが出来たのに。 今からジャケットに着替えたりしたらおかしいかな? そりゃ、おかしいよな。 愛子が商店街のスポーツ用品店で買って来たスウェットの上下に身を包んだ優一は、不毛な自問自答を繰り返した。
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