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衝撃の出会い
雑誌を暫く立ち読みした僕は、菓子やつまみを幾つか買ってコンビニを後にした。少し気分が晴れてアパートへの帰路を歩いている時だった。
「――――――!」
何か声が聞こえたような気がして立ち止まる。辺りを見回したが、特に何もない。気のせいかと歩き出そうとした時だった。
「助けてくれ!」
今度は甲高い声がはっきりと聞こえ足元を見る。そこには側溝の蓋が外れた隙間に黒い物体が挟まっており、抜け出そうと暴れていた。慌てて持ち上げようとすると柔らかい毛が肌をくすぐる。思ったより重量があったが踏ん張り、何とか隙間から救い出した。
道にそれを下ろした僕はその物体が何かを認識し、大きく目を見開いた。固まっている僕を気にすることなく、怪我がないか見まわし問題ないと分かるとそれは片手を上げて声を上げた。
「君よう通りかかってくれたなぁ。お陰で命拾いしたで」
嘴がパクパクと開き人の言葉を発している。
「なんや君、しゃべられへんのか?」
あまりにも僕が何も言わずにいると首を傾げた。
「ぺ、ペンギンが喋った……」
「なんや、しゃべれるやんけ」
そう言ってグァー、グァーと笑い声を上げた。
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