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ロバート親子
「凱~!」
大きな体で人好きする顔のこの男は、ロバートという。
俺のNY時代の同僚で独立して今でもパートナー関係にある男だ。
彼の家は、NY郊外の閑静な住宅街にあって子供の生活環境を重視していた。
「お邪魔するよ。あれ?ルイスは?」
ロバートには一人息子のルイスがいる、医師を目指している優秀な子だ。
「ああ、もうすぐ図書館から帰ってくるよ。てかどこだ!桜~どこだ。」
初めて会った陽気すぎるロバートに尻込みしている桜は俺の後ろにいた。
「初めまして、早川 桜です。」
ヒョコっと凱の後ろからでると日本式の挨拶をする。
「凱!この子天使なの?天使だ・・可愛い。」
ガバッとロバートは桜を抱きしめると軽々と自分の腕に座らせるように抱き上げる。
「寒いから中においで。」
「おい!ロバート桜が驚いているだろう。」
ロバートは、一つ一つの感情表現が日本人からしたらオーバーに感じるだろう。
アメリカにおいても彼の表現は、過激とまではいかないが大きい。
「天使は皆のものだ!さあ何か暖かいものでも飲もうな。」
この男は男手一つで息子を育てていただけあってマメで気が利く所もある。
桜は、ソファーにチョコンと座り呆然としていた。
「桜、なれだよ馴れ。ロバートはオーバーアクションな人だけど優しい男だから。」
「うん。ビックリしたんだけど、凱さんアメリカ人ってみんなあんな感じなの?」
「ああ、ロバートよりは、少しみんな大人しいけど日本に比べたら感情表現はしっかりするよ。曖昧な表現をしない。」
なれると何でもないが、日本のように曖昧な態度は良くないし嫌なものは嫌だと言っていいし言わないといけないと桜に教える。
ロバートは、甘そうなマシュマロ入りのココアを用意して桜に勧める。
「甘い~美味しい。」
大きなマグカップを両手で持ってココアを飲む桜は確かに可愛いが。
ここのココアは甘い疲れているだろう桜には丁度いいかもしれない火傷するなよと言いながら俺は桜を眺めていた。
「凱がそんな顔してるの初めてみたよ。でもわかるな~桜は可愛いよ。」
「娘だ!可愛いよ俺達の天使だからな。」
「俺も仲間に入れろよ。」
そんな事を真面目な顔で言うロバートは、案外本気かもしれない。
時差があるから眠いだろうに桜は、元気そうだった若いのもあるが興奮しているのもあるだろう。
飛行機初めての桜は、緊張していたが飛行機の中では寝ていたし食事もとれてはいたが、空港について日本と違う空気にキョロキョロ
していた。
俺も昔は、桜と同じで見るもの感じるもの全て新鮮に感じた事を思い出す。
「ダディ。凱はついたの?」
そう言ってリュックを肩にかけて部屋に入って来た青年は
「おかえり、ルイス。紹介するよ俺の息子のルイスだ。」
桜は、マグカップをテーブルに置くと自分も挨拶をした。
「俺の娘だよルイス。」
凱とルイスは、再会を喜んで抱き合うとルイスは桜をみて父親のロバートと同じ事を言う。
「マジ・・天使だな。小さい~可愛い。」
桜は、決して身長は低くはないがアメリカ人から見ると低いし華奢な印象があるのだろう。
ここで俺のセンサーが働いた。
「俺の娘だぞ。手は出すなよ!」
桜を庇うようにして言う凱の様子をみて一瞬フリーズする親子。
「ダディより過保護な人はいないと思ったけどいたね。」
「俺は、過保護じゃないがあれは過保護だな・・。」
過保護で結構だ、過保護の何が悪いと開き直る俺をみてお腹を抱えて笑うロバートに呆れた顔をするルイス。
桜は、会話は聞き取れるが少し早い会話に耳がまだついていかない。
「凱さん何故笑ってるの?」
小首を傾げて聞く桜に俺は「桜が可愛いと言ってるんだ。」と教えると桜は少し赤い顔をして「そんな事ないのに・・。」と言うがそんな桜もまたロバート親子のつぼに入って桜はロバート親子にとっても可愛い天使になっていた。
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