さくらんぼ診療所

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往診を終えて帰宅すると電気がついていて玄関を開けると良い匂いがした。 ワイワイと賑やかな話し声がしている。 「ただいま。ってマスター店はいいの?」 キッチンにはマスターが立っていて大きな鍋にお湯を沸かして蕎麦を湯がいていた。小さな鍋にはうどん。 「ああ今日はお祝いだからな店は休んだよ。」 だから秘蔵の焼酎でも出してくれとか言うから飲むつもりだ。 うどんか・・俺は桜のアレルギーを思い出す。 「おーい桜うどん出来たぞ。ネギは入れるんだよな。」 桜は蕎麦アレルギーを持っているから蕎麦は食べる事ができない。 もちろん家には抗アレルギー薬は常備している。 俺達は蕎麦で桜はうどん。 天ぷらや刺身なんかも用意してくれている。 俺達は普段蕎麦は食べないもしも桜の食事に少しでも混入したら怖いからだ。マスターはそれを知っているからわざわざ用意してくれていておそらく細心の注意を払っている。 「引っ越しと言えば蕎麦だろう?」 マスターはイベント事が好きだ誕生日やクリスマスとか色々なイベントは桜の事もあるだるけど店ではあまり見たくない親父のサンタが毎年見れる。 桜のスマホに着信音が桜は画面をタップして「はーい。」と電話に嬉しそうに出る。 桜は15歳男の子か女の子か・・登と俺は気になる。 スマホをのぞき込むのは後で白い目で見られそうだし・・ 「うん。まってるね~あと数分なの?」 今から食事なのに出ていくのか?どういえばいいのだろうか・・ ご飯食べてからに? 夜は出たらダメ? 俺と登は顔を見合わせて同じ事を考えている。 「桜?友達かな?」 桜はスマホをテーブルの上に置くと無邪気にニコッと笑って 「凱さんがつくって~一日早く帰国できたって。」 あーっってオイ!変なサプライズはいらないから連絡してこいよな! でも凱が帰ってくるのは嬉しいのだろう。 「みんな揃うっていいよね。」 確かにそれぞれ忙しく一緒に住んでいても食卓をみんな一緒ということは少ない。 でも桜を一人で食事させることはない。 俺や登か凱が必ずだれか一緒にいる。 一人じゃないこれが桜にとって重要だと俺達は思っている。 「ただいまー。」 ガラガラと音をさせて部屋に入ってきた俺達三人は嫌な予感がしている。 「おかえり。」 トランクケースを引きずり嬉しそうに笑う凱。 「ね~デジャブってやつかな。」 「凱が大きな荷物はこれ怪しいよな。」 桜を初め緊張がはしる・・また何を買ってきたのか。 小さな物は最初は桜も喜んでいたが、この間のぬいぐるみやアメリカではコレクターがいるとかいう変な人形。 センスが良いとは言えないんだよな~凱はさ。 トランクを凱が見てみろよ今回も自信ありげだが前回も自信ありだった。 「日本でも今は結構賑やかにやるらしいから用意したんだが・・。」 トランクの中は黄色?オレンジ? 「カボチャ・・ハロウィンか?」
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