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ここの所、辺境視察の名目での遠乗りも無かったから、相当城の外に出たかったんでしょう。
そう言ってサラはにっこりと笑った。
「はい……、おそらくわたくし達がここにいる事を、城内に知る方はおられないかと……」
アウロラの言葉に、でしょうねえとサラは腕を組み思案したあと、何かを思い立ったようだ。
「私はこれからお客人の所に行きます。巫女殿は頃合いを見て私がお迎えに上がるまで、ここにいてください」
「あの……それは一体……」
首をかしげるアウロラに、サラは真摯な顔で告げる。
「一つ、お願いがあるんです。一緒に主とお客人の所へ来ていただけませんか? 」
「わたくしが、大主の前へ? 」
驚いたように目を見開くアウロラに、サラはうなずく。
「お客人……光の領域の方々に、是非とも会っていただきたいんです。そうすれば、巫女殿の何かが変わるかと」
「変わる……ですか? ですが、ただ用もなく赴いては……」
「それは、私に考えが」
と、サラはアウロラに自らの計画を説明する。
どうしてもお嫌だったら無理強いはしない、と言うサラに、アウロラは微笑で答えた。
「いいえ、お引き受けいたします。こんなことになった責任の一端は、わたくしにありますから」
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