Ⅲ.出城にて

11/23
前へ
/179ページ
次へ
 ここの所、辺境視察の名目での遠乗りも無かったから、相当城の外に出たかったんでしょう。  そう言ってサラはにっこりと笑った。 「はい……、おそらくわたくし達がここにいる事を、城内に知る方はおられないかと……」  アウロラの言葉に、でしょうねえとサラは腕を組み思案したあと、何かを思い立ったようだ。 「私はこれからお客人の所に行きます。巫女殿は頃合いを見て私がお迎えに上がるまで、ここにいてください」 「あの……それは一体……」  首をかしげるアウロラに、サラは真摯な顔で告げる。 「一つ、お願いがあるんです。一緒に主とお客人の所へ来ていただけませんか? 」 「わたくしが、大主の前へ? 」  驚いたように目を見開くアウロラに、サラはうなずく。 「お客人……光の領域の方々に、是非とも会っていただきたいんです。そうすれば、巫女殿の何かが変わるかと」 「変わる……ですか? ですが、ただ用もなく赴いては……」 「それは、私に考えが」  と、サラはアウロラに自らの計画を説明する。  どうしてもお嫌だったら無理強いはしない、と言うサラに、アウロラは微笑で答えた。 「いいえ、お引き受けいたします。こんなことになった責任の一端は、わたくしにありますから」
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加