Ⅲ.出城にて

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「ありがとうございます。では、私が戻ってくるまでは扉に鍵をかけ、誰が来ても決して開けないように」  周りは獣の巣窟であることをお忘れなきよう。  冗談めかしてそう言うと、サラは部屋を出て行く。  扉が閉まると、アウロラは慌てて鍵をかけ、そのままそこに座り込んだ。       *  それから、どれくらいの時が経っただろうか。  扉の叩かれる振動で、アウロラは目を覚ます。  どうやら扉にもたれかかり、そのまま眠ってしまったようだ。  慌てて立ち上がり解錠しようとして、はたとアウロラは思いとどまる。  周りは獣の巣窟だという、別れ際のサラの言葉を思い出したからだ。  どうしたものかと思案していると、今度は扉を叩く音と同時に声が聞こえてきた。 「巫女殿、私です。大丈夫、開けてください」  聞き間違えようもないサラの声に、アウロラは震える手で解錠し扉を開く。 「お客人達、いい感じにできあがっています。今なら無礼講でしょう」  サラは、万一何か粗相があっても大丈夫な頃合いを見計らってくれたのだ。  アウロラが謝意を表そうとするよりも早く、サラはその手を取り足早に歩き始めた。 「実は、配下に命じてノクト様へ使いは出してあります。事後承諾になりますが、この際仕方ないでしょう」
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