Ⅲ.出城にて

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 にっこりと笑ってみせるサラだが、アウロラの表情はどこか沈んでいる。  不審に思い首をかしげるサラに、アウロラは目を伏せる。 「どうして、サラ様はわたくしに優しくしてくださるのですか? 」  突然の問いかけに一瞬サラは驚いたようだったが、すぐにその顔には微笑が浮かぶ。 「決まっています。あなたは、主が護りたい……大切だと思っている存在だからです」  主の意に従うのが我々の役目だと言うサラに、だがアウロラは足を止めた。  そして、ためらいがちに口を開いた。 「それでは、サラ様はお辛くないのですか? 」 「私の役目は、主の剣であり盾……道具であることです。それ以上でも以下でもありません」  即答と言っても良かった。  けれど、サラの顔にはどこか寂しげな微笑が浮かんでいる。  それを目にしたアウロラは、サラが心の内に秘めた想いを、痛いほど理解した。 「……申し訳、ございません……」  けれど、サラは再びアウロラの手を取り歩み始める。 「なぜ謝るのですか? 私は生まれながらの役割を果たすだけのこと。巫女殿もそうでしょう? 」  と、道すがらサラは自らの生い立ちを語り始めた。  武門の家柄に生まれたこと。
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