Ⅲ.出城にて

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 話から察するに、どうやらその身に何かが起きているらしい。  そして、自分に何か見せたいと言うのは口実で、本題はこの奇妙な出来事の調査だったのでは、とアウロラは考えた。  このままでは、この世界に良からぬことが起きるのではないか……。  言い知れない恐怖にとらわれて、アウロラは思わず立ち尽くす。  その時だった。 「どうした? 何かあったのか? 」  突然ベヌスから声をかけられて、アウロラは飛び上がりそうになる。  が、辛うじてそれをこらえると、その場にすっとひざまずき、深々と頭を垂れた。  そして、サラが考えた台詞を間違えぬよう細心の注意をはらって口に出す。 「恐れながら城下へ使いを送ってもよろしいでしょうか。お戻りにならぬゆえ、皆心配しているかと……」  視線が自分に注がれているのを感じ取り、アウロラは固く目を閉じる。おそらくその身体は小さく震えていただろう。  けれど、ベヌスから返ってきた言葉は、想定外のものだった。 「アウロラ、構わぬ。こちらへ来ないか? 」  どうすれば良いのか。咄嗟にこんな言葉が口をついて出た。 「ですが、わたくしは卑しい巫女でございます。大主とその弟君のご尊顔を拝するのは、あまりにも恐れ多く……」 「命令だ。顔を上げよ」
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