Ⅲ.出城にて

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 やがて、何やら得心がいったようにうなずくと、ディーワはアウロラに向き直る。 「……巫女殿、一つ頼みがある。ベヌスはかけがえのない我が友。どうか支えてやって欲しい」  思いもかけない言葉だった。  あふれてくる涙をこらえながら、アウロラは顔を上げる。 「そんな……もったいないお言葉を賜りまして、嬉しゅうございます。この命、喜んで……」 「待て待て。気持ちは嬉しいが、軽々しく命を口にするのはやめよ。それに今お前に死なれては困るぞ」  慌ててアウロラの言葉をさえぎるベヌス。  だが、更に乱入する者がいた。 「さては陛下も俺と同様、巫女殿がいなければ城に帰れないんじゃないか? だから巫女殿を帯同させたのだろう? 」  そんなやり取りを見ていて、アウロラは思わず微笑を浮かべていた。  彼らは確かに強い絆で結ばれている。  それは恐らく友情と信頼と言った類のものだろう。  そんな彼らを、アウロラはうらやましく思った。  これ以上長居をしては、せっかくの邂逅を邪魔することになる。  そう考えたアウロラは、一礼しその場を後にしようと立ち上がる。  と、ベヌスからどこへ行く、と声をかけられた。 「城下へ使いの手配を……それに、これ以上やんごとなき皆様のお側にいるのは、申し訳……」
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